表参道ヒルズ
井戸田 精一
2006年5月18日に見学したレポートを井戸田精一が報告いたします。
「欅(けやき)並木

 「表参道」は、若者文化の発信地でである。
 渋谷区のケヤキを植えた並木道は、東京オリンピックが開催された代々木公園から始まり、表参道に続いている。

 東京の魅力は、都心にわりと広い公園がいくつもあることだ。夏場に街中を自転車で走るとどこからか涼しい風が吹いてくるのを感じることがある。そんなんなときに涼しい風に向かって走ると必ず公園がある。

 表参道には、東京の中心市街に広がる道が続いている。赤坂、六本木、青山、渋谷など、カラオケの歌詞に出てくる町ばかりである。最近は、この「表参道」につながる路地も若者のブティックができ、観光客がアジア、ヨーロッパ、アメリカからの団体が連なって歩く姿も多くみらる。国際観光の最先端のまちづくりに大成功を収めた街である。
△表参道のケヤキ並木
 
先日、東大阪商工会議所が主催する講演会に安藤忠雄先生が来られ、タイミングよく「表参道ヒルズ」を見学することができた。
 大学時代に先生が教室で講演されるのを聞いてから、もう○○年が過ぎ、同時に本当にたくさんの作品とであう機会があった。

 「表参道ヒルズ」は、ケヤキ並木に見え隠れしながら、表参道に面した長〜いファサードは、大きさによる威圧感が無いだけでなく、街を歩く人が入りやすく、使いやすい動線によるアプローチと言える。また、建物の高さは、この並木をかなり意識されたようだ。

「国際化に答える館名板のデザイン」

 コンクリートの打放しと洗練されたデザインの
表参道ヒルズの館名板は、すでに新しいトレー
ドマークとなっている。日本の文化を強く、国際
社会に訴えるイメージもある。
△表参道外観
「建築史を継承する」
 表参道ヒルズは、有名な同潤会アパートのあった
地域全体を再開発して、出来上がった建物である。
 表参道の同潤会アパートは、建築を学ぶもので
あれば、一度は、本で読んだり、見学する機会がある建物で、専門家の調査もされている集合住宅の基本となる歴史的建造物である。
 安藤先生も当然、これを学びながら、再生することを考え、表参道ヒルズの一角を昔ながらのデザインで再生しているのである。現在は、厳重な警備員の立つ商業ビルとなっている。

 公団の階段室タイプの各住戸の玄関から入ることのできる店舗は、表参道と同潤会アパートの歴史を伝えるものになったのだ。

<同潤会アパートについて HPアドレス>
http://www.metropolis-tokyo.com/doujunkai/
△同潤館
「大きな吹抜けのあるショッピングモール」
 
ビルの吹抜けは、防災計画のウィークポイントである。
 大きな吹抜けを建物内部に作るには外壁と同様な防災計画が必要となる。
 国内外の最高級の店舗が軒を並べる表参道ヒルズは、各店舗ごとにシャッターを取り付けることで、防犯と防災の一石2鳥の計画となる。

「表参道と同じように歩いて買い物ができる計画」
 ヒルズの入口は、地下2階、地上3階の1階にある。1階玄関から建物に入ると大きな吹抜けの3階部分に出てくることになる。高級商店街の列なる吹抜け空間に面してバルコニー形状の通路が、
らせん状に上から下までつながっている。これは、フランロイドライトの晩年の作品、ニューヨークにあるグッゲンハイム美術館の空間計画と同じである。
 ライトは、吹抜けにらせん状の通路もうけることで、作品を近景や遠景で見ながら、かつ、自分の居場所がすぐ分かることで、来館者が安心して時間を使えるように考えたのである。すなわち、ショッピングも同様に考え、さらに、緩やかな勾配のあるヒルズの立地を利用した計画となったのである。
△表参道ヒルズ内観